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等張性と低張性輸液の比較:無作為臨床試験

等張性と低張性輸液の比較:無作為臨床試験

重要性:
小児において低張性輸液を用いることは低ナトリウム血症の罹患率と死亡率を上昇と関連しているとされる。小児の集中治療室以外の非外科的入院患者における低張性輸液と等張性輸液の比較試験は研究不足であった。

目的:
入院した小児集団に対する等張性輸液(塩化ナトリウム:0.9、ブドウ糖:5%)と低張性輸液(塩化ナトリウム:0.45、ブドウ糖:5%)の静脈内投与を比較する。

セッティング、環境、参加者:
二重盲検ランダム化臨床試験では、2008年3月1日から2012年8月31日まで、第3次ケア小児病院の一般小児科に入院した生後1ヶ月から18歳までの110人の子供を対象とした。正常なナトリウム値を維持するのに、輸液をを48時間もしくはそれ以上必要とされた症例とした(ITT分析)。特定の輸液の種類や輸液量を必要とする診断を受けた小児は除外とした。

介入方法:
患者を無作為化して、等張性または低張性輸液を48時間施行した。

評価項目:
主要評価項目は、48時間後の平均血清ナトリウム値とした。また、副次的評価項目は24時間後の平均血清ナトリウム値、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、体重増加、高血圧、浮腫とした。交絡変数は重回帰分析に含め、ポストホック分析には24時間後から48時間後にかけての血清ナトリウム値の変化と、初回に呼吸器疾患と診断されたサブグループ分析を含めた。

結果:110人の登録患者のうち54人が等張液を、56人が低張液を輸液された。 48時間における平均(SD)ナトリウム濃度は、等張液群では139.9(2.7)mEq / L、低張液群では139.6(2.6)mEq / Lであった(95%CI、-0.94〜1.74mEq / L、P = 0.60)。低張液群の内2人の患者が低ナトリウム血症を発症し、各群1人が高ナトリウム血症を発症し、各群2人が高血圧を、等張液群の内2人が浮腫を発症した。48時間後の血清ナトリウム値の平均(SD)変化は、それぞれ+1.3(2.9)対-0.12(2.8)mEq / Lであった(絶対差、1.4mEq / L; 95%CI、-0.01〜2.8 mEq / L; P = 0.05)。

結論:
本研究の結果から、一般的な小児患者では等張液投与が安全であり、低ナトリウム血症の症例が少なくなる可能性があると考える。


Comparison of Isotonic and Hypotonic Intravenous Maintenance Fluids: A Randomized Clinical Trial
JAMA Pediatr. 2015;169(5):445-451.

低張液を加えると低ナトリウム血症になりやすいのは、理解できますが、主要評価項目の結論からはそこまで差はないと感じますがどうなのでしょうか。



輸液といえば

伝染性単核球症のEBM「この患者は伝染性単核球症を持っているのか??」

伝染性単核球症のEBM「この患者は伝染性単核球症を持っているのか??」

重要性:
早期の伝染性単核球症の診断は、治療を決定するのに役立つだけでなく、抗菌薬の乱用を防ぎ、患者の正確な予後を見通すのに役立つ。

目的:
伝染性単核球症の診断に関する、身体所見や白血球数に関する文献を体系的にレビューする。

データソース:
PubMed(1966-2016)とEMBASE(1947-2015)のデータベースから、670件の論文と要約を対象とした。

研究選択:
有効な基準と比較して、身体所見および白血球数パラメータについて感度、特異性、またはその両方を計算するのに十分なデータを報告した11の研究を対象とした。

データの抽出と合成:
データを少なくとも2人の査読者が各文献から抽出し、差異を統一見解で調整した。1つの研究では利用可能なデータから計算された感度、特異性、尤度比(LR)を95%信頼区間を用いて、臨床所見が報告されている。 2つの研究で評価された所見は、信頼区間で評価され、3つの研究で評価された所見は単変量ランダム効果で要約された。また4つ以上の研究で評価された所見は2変量ランダム効果メタ分析で要約された。

主要評価項目:
単核球症の診断の感度、特異性、およびLRとした。

結果:
単核球症は、5〜25歳の患者(特に16〜20歳の患者)に最も一般的であり、咽頭痛を訴える13人の患者の約1人に単核球症がある。リンパ節腫脹(感度0.91、陽性LR範囲0.23-0.44)がない場合、単核球症の尤度は減少するが、後頸部リンパ節腫脹(特異度0.87;陽性LR 3.1 [95%CI 2.1-13])や鼠径部リンパ節腫脹腋窩リンパ節腫脹(特異度0.82-0.91、陽性LR範囲3.0-3.1 )、口蓋の点状出血(特異度0.95、陽性LR 5.3、[95%CI 2.1-13])、および脾腫(特異度範囲、0.71-0.99;陽性LR範囲、1.9-6.6)が存在すると尤度が上昇する。症状での単核球症の診断には限界があり、咽頭痛や倦怠感は感度は高いが(範囲は0.81-0.83)、非特異的である。異型リンパ球増加は、単核球症の尤度を有意に増加させる(異型リンパ球≧10%では陽性LR11.4 [95%CI、2.7-35]、20%では26 [95%CI、9.6-68] 40%では50[95%CI、38-64])。 50%以上のリンパ球増加および10%以上の異型リンパ球の組み合わせ有する所見も有用である(特異度 0.99; 陽性LR 54 [95%CI、8.4-189])。

結論と妥当性:
咽頭痛を呈している青年期および成人患者では、後頚部、鼠径または腋窩のリンパ節腫脹、口蓋の点状出血、脾腫または異型リンパ球の存在が単核球症の尤度を上昇させると考えられる。


Does This Patient Have Infectious Mononucleosis? Systematic Review
JAMA. 2016;315(14):1502-1509.


救急外来で若い咽頭痛の患者さんが来られた時、なかなか採血検査まではしないと思います。
ですので、まず身体所見をとって、その後、採血検査をするのが日本では良いのではないかと考えます。


The Rational Clinical Examinationといえば



日本語訳は


なぜこんなに名前が違うのでしょうか

医師の健康、仕事の満足度、プロフェッショナリズムを促進するためには

医師の健康、仕事の満足度、プロフェッショナリズムを促進するためには?

重要性:
現在まで、医師のストレスが広がっており、臨床における影響が言及されたりしているにも関わらず、これらの問題に対処するために介入を行った研究はほとんどなかった。

目的:
医師を小グループのカリキュラムに参加させ、その結果が医師の幸福度を改善させるという仮説を検証する。

研究デザイン、環境、参加者:
2010年9月から2012年6月にかけて、ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニック医学部の医師74名を対象とした無作為化臨床試験を行った。

介入方法:
9ヶ月間、隔週で19回、マインドフルネスリフレクション経験共有グループ学習の要素を取り入れた医師のグループで行った。参加者が拘束された時間(毎回1時間)は施設から準備された。

主要評価項目:有効な評価基準を用いて、「仕事に対する意義、力の入れよう、夢中さ、バーンアウト、うつ症状、QOL、仕事の満足度」を評価した。

結果:
3ヶ月後には、介入群では「力の入れよう」と「夢中さ」が5.3ポイント増加したのに対して、対照群では0.5ポイント低下し(P = 0.04)、12ヶ月間継続した(+5.5 対 +1.3ポイント; P = 0.03)。 3ヵ月後の没個性化率は、介入群では15.5%減少し、対照群では0.8%増加した(P = 0.004)。この差は12カ月も持続していた(9.6%減少 対 1.5%減少、P = 0.02)。ストレス、うつ病の症状、全体的なQOL、または仕事の満足度統計的に有意差は認められなかった。無作為化医師コホートを含む追加の比較において、の割合自分たちの仕事が意義あるものだと感じる人が、介入群で6.3%増加したが、対照群では6.3%減少し、非試験群では13.4%減少していた(P = 0.04) 。没個性化率、情緒的消耗感および全体的なバーンアウトの割合は、介入群では有意に減少し、対照群ではわずかに減少したのに対し、非試験群では増加した(それぞれ、結果ごとにP = 0.03、.007および.002) 。



結論と妥当性:
小グループでカリキュラムを行った医師は、仕事の「意義」と「夢中さ」改善し、没個性化率を減少させた。さらに、研究後、12ヶ月でも持続的な効果を得ていた。


Intervention to Promote Physician Well-being, Job Satisfaction, and Professionalism: A Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. 2014;174(4):527-533.


仕事に対する心理的な感情は、小グループによる学習などが効果的と書いてあります。確かに隔週必ず会うグループがあると、お互いに目が届きやすいですし、それを含めて助け合いができると思います。
また、日本では勉強会などは盛んに行われていますが、経験共有やマインドフルネスなどはあまり聞きません。アメリカのような経験共有を出来るグループがあれば、また少し医師のQOLや満足度が改善するかもしれません。まぁ時間がない可能性のほうが高いですが。

JAMAといえば

外科分野におけるQOLとバーンアウト率について

外科分野におけるQOLとバーンアウト率についての論文

重要性:
バーンアウトやQOLの低下を最小限にする戦略を立てる為には、様々な外科専門分野でのQOLやバーンアウト率についての理解を深めることが重要である。

目的:
複数の外科的専門分野にわたる文献を体系的にレビューし、全外科医の間でQOLおよびバーンアウトの包括的な理解し、バーンアウト率およびQOLの低下の違いを理解し、これらの結果に一般に関係する要因を解明することが目的である。

エビデンスレビュー:
MEDLINE、PsycInfo、およびEMBASEを含むOVIDの電子検索で、以下のMeSH検索条件を利用した。「QOL、バーンアウト、外科医、外科専門医、米国
1980年1月1日から2015年6月10日までに出版されたもので、米国の外科専門医を対象とし、QOLに関連する質問を1つ以上含む英文記事を利用した。(医学生や非外科医が含まれているレビューは除外し、1420の論文の内、基準に当てはまる41の論文を使用した。)
PRISMA声明に準拠し分析を行った。

主要評価項目は、「性別、年齢、熟達度(レジデントか上席医か)、外科的専門性、評価ツールを用いたQOLスコアおよびバーンアウト率」とし、副次評価項目は、バーンアウトの要因として考えられる「勤務時間、所得」とした。論文間の不均質性のため、定性分析も利用された。

所見:
16項目の専門分野の中で、小児外科医(86%〜96%)および内分泌外科医(96%)がもっとも満足度が高かったのに対し、一部の形成外科医(33%)血管外科医(64%)がもっとも満足度が低かった性別の影響は不明で、レジデントは、産科、婦人科、耳鼻咽喉科、整形外科手術など、複数の専門分野で上級医よりもバーンアウトのリスクが有意に高かった。3分の1の研究で、「週における就業時間」が、「バーンアウト、キャリア満足度の低下、QOLの低下」の統計的に有意な予測値になりえることが判明した。

Quality of Life and Burnout Rates Across Surgical Specialties: A Systematic Review
JAMA Surg. 2016;151(10):970-978.


日本でも医師のQOLを求める声が上がってきています。
QOLやバーンアウトに関するが研究が、日本でもされるとまた違った結果が出て面白いかもしれません。
所属病院や組織、年代、地域によって変わってくるかもしれませんね。


JAMAといえば

救急での問診(AMPLE)

救急の場での問診表です。緊急性が求められる救急では、じっくりと問診はとれません。

最低限下記の問診をしましょう。(患者さんが救急車で搬送されてきた場合、救急隊がすでにAMPLEを聴取している場合もあります。)

A:Allegy (アレルギー)
M:Medication (薬剤)
P:Past History/Pregnancy (既往歴/妊娠(月経))
L:Last Meal (最終摂食)
E:Event/Environment (出来事/環境)